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●コンクールレポート●
「第3回全日本アマチュアギターコンクール」
主催:全日本アマチュアギターコンクール実行委員会

2002年度、第3回の全日本アマチュアギターコンクールは72名の申し込み参加があり、第1次予選、第2次予選を経て8月18日、例年どおり三鷹市芸術文化センターにて最終予選及び本選を開催しました。
最終予選出場者は47名(49名合格のうち2名棄権のため)、本選には10名が選出されています。
第1~3位入賞者と、Verde賞(年配の方を対象とした優れた演奏者への特別賞)、特別賞は別掲のとおりです。
■先ずは「自然な喋り方・普通の会話」のように

「アマチュアギターコンクール」はプロへの登竜門ではなく、ギターを弾かれる方の楽しみを広げ、音楽をより深く味わうことをバックアップしたいという考えからスタートしました。
従ってミスがいくつあったかを数えるのではなく、ギターを弾く楽しさや喜びが演奏に感じられるかという点を大切に審査しています。
それでも最低限犯してはならないミスはいくつかあります。
それは指が速く動かなかったり、押さえを間違えたりといったことではなく、楽譜に記されたリズムを正確に弾くということ。審査員全員の一致した考えです。
これができていなかった人は、すべての審査を通じ良い評価を得られていないでしょう。
先ず大切なのは音楽が自然な喋り方、普通の会話のように聴こえるということだからです。もちろんその中で小さく囁いたり、声高く主張することもあるでしょう。でも楽譜に記されたリズムで弾いていない人の演奏は、それ以前に相手に通じないお話のように聴こえてしまいました。
■ソルのワルツ、タレガの夢~予選のポイント

第2次予選のソル〈ワルツ〉では、32分音符の上昇音形や、32分音符スラーからハーモニックスに至るパッセージがわりと良かったのに、楽譜に記されたリズムで弾けていない演奏が多く残念でした。
録音の場合、ステージと違って自分の演奏を再確認できるのですから、技巧的な部分だけでなく譜読みについてもどうかよく確認を行なってください。
最終予選のタレガ〈夢〉では楽譜に記されたリズムで弾けていない演奏は減りましたが、次はそれに加えてフレーズのまとめ方・アクセントのつけ方など音楽の流れが、やはり「自然な喋り方、普通の会話のように聴こえるか」という部分に審査のポイントが向けられていきます。
■最終予選・審査員の感想~10名はどのように選ばれたか

1. 妥当な審査結果
合・否・中間の3段階に分けて採点しました(中間を更に細かく分けて採点した審査員もいます)。合格の多い人から予選通過とし、合格と中間の集計数で差が出ない人たちについては、審査員が各自の記したコメントをもとにその演奏についてもう一度良く話し合い、本選出場者10名を決定しました。
もちろんそれぞれが考える惜しかった演奏はあるわけですが、この10名については全審査員が妥当であるということで確認をしました。
2. この一曲だけというプレッシャーの中でみんな良く弾いた
自由曲がなくこの1曲で終りというのも、かえって緊張すると思います。「そんな中でみんな良く弾いた」というのが審査員の一致した意見です。とくに「ミスがあっても音楽の流れを維持できていた」人が多かったのは、これまでの審査コメント等で繰り返し指摘してきたことの反映として嬉しく思いました。
3. 遅くても音楽がダレず、速くても落ち着きがある
そんな中で「遅いテンポ、速いテンポいずれも考えられるが、遅くても音楽がダレず、速くても落ち着きがある」演奏が評価されました。即ち「自然な喋り方、普通の会話のように」と同じことです。
4. すべての音を愛してしまうと…
「たくさんある音のすべてを愛してしまうと音楽がわからなくなる」メロディーを歌わせつつ和音を奏でられるギターの陥り易い演奏かもしれません。フェルマータの和音の後、8分音符シ・ラに思い入れがありすぎて「アウフタクトに聴こえない」などもそうです。
その他「D.C.した後、その前のテンポ感・雰囲気が残ってしまう」「前半rit.して最初へ戻るところは、まったく新たに呼吸するのではなくrit.を意識した呼吸で」また「押さえが難しくなっても、同様に明確な装飾音が鳴らせるように」「出だしの一音はとくに慎重に」…。
調弦はだいぶよくなっていますが「演奏が良いのに残念」な人もいましたし、「時間をかけているわりに良くない」人は調弦方法をもう一度チェックしてください。
■本選出場者・審査員の感想~順位はこうして決定された
【採点方法と結果】
順位評価に得点制を加味した方法を採りました。
各審査員が上位5名を選び、それぞれ1位5点、2位4点、3位3点、4位2点、5位1点として集計し、高得点者が上位となります。
結果、鈴木さんが1位。居川さん、丸山さん、田口さんが同点でしたので、3名について再度採点をし2位、3位、次点を決定。特別賞は小川さん、本選のVerde賞は中嶋さん(歳)と決まり、以上最終的な結果について全審査員の承認を得ました。
最高点を得ながら失格となった小川さんについては、全審査員が「規定なので仕方ない」という意見ですが、「他とは異なるこのコンクールの主旨を考えれば、50秒の超過にこだわらずという考えがあっても悪くはないが」との感想はありました。
■このコンクールの特長
最初に述べたようにこのコンクールは、ミスがいくつあったかを数えるのではなく、ギターを弾く楽しさや喜びが演奏に感じられるかという点を大切に審査し、第1、2、3位の入賞、本選で印象を残す演奏をした方に「特別賞」、予選・本選それぞれに熟年の方を対象とした「Verde賞」を設けています。
そしてテープ審査の結果郵送の際にコメントを添え、第3次予選の審査シートの供出、このような審査経過報告など、審査員の感想・意見をできる限り伝えるよう努力しています。
「ギターを弾かれる方の楽しみを広げ、音楽をより深く味わうことをバックアップしたい」
そのために用意されたコンクールの場で、ぜひ普段はできない経験をし、成長の糧としていただくことを願っています。
来場されたギタリストより「他のコンクールのように重苦しい雰囲気がなく、のびのび弾いている」という感想がありました。
より高いレベルを目指しつつも、参加者、来場者のみなさんが、気軽に声を翔け合ってお互いに成長していけるような雰囲気をこれからもつくっていきたいと思っています。


■ 本選出場者10名
前列左より 特別賞:小川、第2位:居川、第1位:鈴木

第3位:丸山、Verde賞:中嶋




  
■ 表彰式の様子 ■ 第1位:鈴木和彦